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うつつ世とまどろみの境を泳ぐ、とある妖の手記・・・らしいもの
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それは、『愛』なのか。

◆side - A

バタンと、扉を閉める。
それと同時に、安心感から、崩れ落ちそうになる。
伽藺の慮った通り、ここ数日一睡もしていなければ
食事も栄養剤を摂るのみだった。

時々、非常に心配性になる事があった。
それが所有物に対する執着なのか、医師としてのプライドなのか
それとも愛情なのかは、
本人さえ判断しかねていた。
ただ、喪うことが人並みに怖いのは、確かだった。

食堂にて伽藺の隠していた饅頭を手に取ると
すぐに病室へと戻る。

「・・食えるか?」

普段なら放っているところを、今日だけはその手に渡した。

「何なら、俺が咀嚼してやってもいいのだが」


◆side - K

これは、不器用な気遣い、なのだろうか?
真顔で言うものだから、冗談でいっているのか本気なのか、
からかっているのか心配りなのか、判断が付き辛い。

「だ、大丈夫ですよ。食べるくらいは、出来ます」

今までの人生、目前の甘味を諦めたことは、一度も無かった。
それが、病みあがりであっても、寝起きであっても。
けれど少し悪かったろうかと思う。
純粋に好意だったのなら、その気持ちを無碍にしたことに、
なってしまうのかも知れない。

・・・なので。

「それじゃあ一つだけ、して欲しいことがあります」

小さく目を瞑って、顎をくいと突き出した。
何を要求しているかは、理解して貰えるだろう。


◆side - A

目の前の鼠は愛を欲している。
そんなこと、幾ら鈍感な男であっても分かるだろう。

ただ、それでいいのか。

「・・・・・
そういうことができるなら、もう元気だ」

ぽってりとした唇に、饅頭を押し付ける。

「俺は奪う専門だ
貴様が望んだものなど、与えるものか」

そう捨て台詞を吐くと、病室を後にした。
恐らくは寝に行くのだろう、ふらふらとした足取りで


◆side - K

「むぅ、やっぱり意地悪、ですねぇ」

もしゃもしゃもしゃ。・・・と、饅頭を頬張る。

「でも・・・」

ずっと側に居てくれた。心配してくれた。

「なんだろう、なんだか少し、嬉しい・・・」

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自己紹介
HN:
伽藺(カリン)・クイン
性別:
女性
職業:
アッシュ医師の妻/ナハリ軍務補佐官
趣味:
家事、お茶、お喋り
自己紹介:
医師アッシュ・クインの妻である柳の樹妖。
外見年齢は20歳ほど、実年齢は20代後半。
夫との間に男女の双子あり。

性格はおっとり。
行動は良く言えば優雅、悪く言えばどんくさい。
少し急ぐとすぐ転ぶ。
ネバーランド・ナハリ国の軍務省にも補佐官として所属している。

ユエルティートという名の少女を、小鳥と思い込んでペットとして飼っていたことがあり、
人の姿を現した今でも、娘代わりとして可愛がっている。
義兄にはウィルフェア氏とティーラ氏。氏の家族や同居人諸氏とも懇意で、何かとお世話になっている。

お茶が大好きでお茶菓子も好き。
甘党で大食漢。カロリーコントロールを言い渡されるレベル。
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