[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
◆side - A
バタンと、扉を閉める。
それと同時に、安心感から、崩れ落ちそうになる。
伽藺の慮った通り、ここ数日一睡もしていなければ
食事も栄養剤を摂るのみだった。
時々、非常に心配性になる事があった。
それが所有物に対する執着なのか、医師としてのプライドなのか
それとも愛情なのかは、
本人さえ判断しかねていた。
ただ、喪うことが人並みに怖いのは、確かだった。
食堂にて伽藺の隠していた饅頭を手に取ると
すぐに病室へと戻る。
「・・食えるか?」
普段なら放っているところを、今日だけはその手に渡した。
「何なら、俺が咀嚼してやってもいいのだが」
◆side - K
これは、不器用な気遣い、なのだろうか?
真顔で言うものだから、冗談でいっているのか本気なのか、
からかっているのか心配りなのか、判断が付き辛い。
「だ、大丈夫ですよ。食べるくらいは、出来ます」
今までの人生、目前の甘味を諦めたことは、一度も無かった。
それが、病みあがりであっても、寝起きであっても。
けれど少し悪かったろうかと思う。
純粋に好意だったのなら、その気持ちを無碍にしたことに、
なってしまうのかも知れない。
・・・なので。
「それじゃあ一つだけ、して欲しいことがあります」
小さく目を瞑って、顎をくいと突き出した。
何を要求しているかは、理解して貰えるだろう。
◆side - A
目の前の鼠は愛を欲している。
そんなこと、幾ら鈍感な男であっても分かるだろう。
ただ、それでいいのか。
「・・・・・
そういうことができるなら、もう元気だ」
ぽってりとした唇に、饅頭を押し付ける。
「俺は奪う専門だ
貴様が望んだものなど、与えるものか」
そう捨て台詞を吐くと、病室を後にした。
恐らくは寝に行くのだろう、ふらふらとした足取りで
◆side - K
「むぅ、やっぱり意地悪、ですねぇ」
もしゃもしゃもしゃ。・・・と、饅頭を頬張る。
「でも・・・」
ずっと側に居てくれた。心配してくれた。
「なんだろう、なんだか少し、嬉しい・・・」
外見年齢は20歳ほど、実年齢は20代後半。
夫との間に男女の双子あり。
性格はおっとり。
行動は良く言えば優雅、悪く言えばどんくさい。
少し急ぐとすぐ転ぶ。
ネバーランド・ナハリ国の軍務省にも補佐官として所属している。
ユエルティートという名の少女を、小鳥と思い込んでペットとして飼っていたことがあり、
人の姿を現した今でも、娘代わりとして可愛がっている。
義兄にはウィルフェア氏とティーラ氏。氏の家族や同居人諸氏とも懇意で、何かとお世話になっている。
お茶が大好きでお茶菓子も好き。
甘党で大食漢。カロリーコントロールを言い渡されるレベル。