そういえば子供たちもずいぶんと成長して、今ではリンネちゃんもアルクちゃんもちゃんと乳歯が生えてきて、
栄養のほとんどを離乳食で摂っているのですけれど、
アルクちゃんだけはまだちょっと体が小さいから、補助的にお乳もあげていたのですよね。

で、ある日のこと。

食事の済んだリンネちゃんをベビーベッドで置いて、アルクちゃんにお乳をあげていたら、急にぐずって暴れ出してしまって。
さすがにもう体も大きいし、ベビーベッドで暴れては危ないから床に降ろして、『聞き分けのない子はお父様に叱られますよ？』と言ってみたら・・・。
（私が叱ったのではどうも、あまり怖くないようですから・・・）

それを聞いた途端、『ちー！ちーち！！』と叫んだので、思わず私は『あら！　まぁひょっとしてリンネちゃんが、初めて覚えた単語は『父上』でしょうか』なんて喜んでいたのですよ。
旦那様は無関心なお顔をしながらも、実は子供たちの成長にはとても興味があるようだし、自分になつくかどうかも気になっているようですからね。
きっと喜ばれることでしょう・・・なんて思っていたら・・・。

リンネちゃん、泣きながら胸に、しがみついて来て；

どうやら最近アルクちゃんにだけ、食後にお乳を飲ませているのが、差別されているようで悲しかったみたい。
とはいっても私のお乳はもうあまり出ないし、食欲のあるリンネちゃんが満足するほどじゃ、ないと思うのだけど。
・・・吸っているだけでも、気持ち的に違うのかしら？
満足するしないよりも、扱いに差を付けられているのが、淋しかったのねきっと。

という訳で、最初に喋った言葉はどうやら、『お乳』だったみたい・・・。
それを聞いてアルクちゃんも感化されたのか、『ちー、ちーちー』って言ってたし・・・。
でも最初の言葉がこれだなんて、後々の語り草としてもちょっと、可哀想かしら。
まだあまりはっきりとした発音じゃなかったし、今回の件はノーカウントで・・・いいかも・・・？？

まずはその日の早朝、ウィルフェア兄上の出勤前のお時間に合わせて、子供たちを預けに行って来ました。
１９日当日の日曜日はちょっと都合が悪かったので、２０日の月曜日に預けることになったのですけれど、
日曜日だと兄上にもゆっくり子供たちと遊んでもらえましたねぇ。


















ウェーデンさん家はちょっとした大騒ぎになっていました。

ウィルフェア兄上もスイ様も女の子のお世話は初めてらしく、リンネちゃんを珍しそうに見ていました。
特にスイ様は喜んでいて、ほとんど一日・・・家事の合間にまで、リンネちゃんに構っていたそうですよ。
可愛がられるのが大好きなリンネちゃんは、ずーっとご機嫌でいたそうですよ～。
（翌朝お迎えに行った時に、えらく可愛いお洋服を着ていたのですけれど、あれはスイ様の手作りでしょうか？）

アルクちゃんもニコル様の小さい頃を思い出すといって、兄上がえらく可愛がってくださっていたけれど、
それよりもはしゃいでいたのはニコル様で、ずっとアルクちゃんの面倒を見ていてくれたみたい。
自分よりも小さな子供を見ることが普段無いから、何だかお兄ちゃんになったようで嬉しいのでしょうね。
音のなる玩具がすきと聞いて、キッズピアノを一緒に弾いてみたり、『お兄ちゃん』と呼ぶように教えていたりしたそうです。

あまりにニコル様が、自分を指差して『お兄ちゃん』というものだから、そのうちミシェル様がニコル様に対して、
「お兄ちゃん」と呼び始めたとか・・・。
ミ、ミシェル様、どちらかというとニコル様からしたら、貴方の方がお兄ちゃんですから、ね・・・？（汗）

そしてお昼までの間に自宅に帰りお出掛けの用意です。

・・・えへへ。実は今回のデートは、私が男性で旦那様が女性で、という試みだったのです。
出産のご褒美とお誕生日のお祝いとで・・・、何でも希望を聞いてくださるということだったので・・・。
提案した時は、ちょっと困ったお顔をしておられましたが、私がどうしても希望するならと、
聞き入れてくださったのです、ふふ・・・（＾ー＾*

ということで旦那様はご自分でお薬を飲んで女性化されました。
いかにも筋肉！　といった女性になるのではないかと、ご本人は危惧されていたようですけれど、
実際は・・・。
少々普通の女性よりは、大柄ではありますものの、綺麗な女性になられたと思います。
軽く、チークとリップだけのお化粧も、させていただきましたしね。

背丈は・・・ま、まぁ何とか男性の私（179cm）と同じ程度に留まって下さって、
・・・いや・・・心持ち私より高かったかな、・・・まあいいや（は）。
筋肉質ではありますがよく締まった手足と、均整の取れたスタイルはご本人も気に入っておられたようで、
『これで顔さえ美形なら』と呟いておられましたね。

充分にお美しいとは思ったのですけれど、あの方はどちらかというと繊細で儚げな容姿を好まれますから、
野生的で迫力のあるお顔立ちは、いくら美貌であっても美しくは思えないのでしょうね。
『綺麗というならば化粧補正分だろう。女になってもゴツさはそうそう変わらん』ということだそうです。

勿論、私も今日は男性に戻ったのですよ。
とらねこ麦酒の影響で、猫耳と尻尾があったのは、何とも言えませんでしたけれど；
























旦那様の普段のお洋服では大きさが合いませんから、私のお洋服とサンダルをお貸しして外出しました。
案の定、男性の時の私の普段着が、ちょうどいい大きさでした・・・。
そのまま馬車で少し離れた街へ。
トラテペスでも観光地になっているここは、デートスポットも数多くあるようでした。

まずは昼食。人気のカフェレストランで、ランチバイキングをいただいたのですが、
女性とカップルばかりの周囲の様子に少し落ち着かなげなご様子でした。
お味はと聞きましたら、『こざっぱりとしていて、如何にも女好きのしそうな料理だ』ということだそうで、
私が普段作るお料理の方が美味しいと言われていました。

んー・・・まぁ・・・、確かに私のお料理は旦那様のお好みに合わせて、お勉強しましたからねぇ。
（普通のお料理本のレシピよりは、少し濃い目に作ってあるのです）
















それからお洋服を見繕いにブティックへ。
この後には観劇の予定でしたから、少しフォーマルなドレスを揃えに行きました。
身長も肩幅があるので、そこをうまくカバー出来るデザインは、探すのに少々骨が折れましたけれど。
（何せ１８０ｃｍの長身に合うドレス自体が少なくて・・・）
何とかお似合いになる装いを選べたように思います。

紐が肩周りを華奢に見せるデザインで、シフォンのカーディガンが腕の筋肉質を、隠してくれます。
脚は、せっかくすらりと長くて美しいのだから、スリットで歩くたびに覗くようにして。
髪も量の多い前髪を後ろに流して、ちょっと束ねてみたのだけれど、いかがでしょうか？
靴は・・・いきなりヒールは歩きにくいでしょうから、今流行のグラディエーターサンダルを薦めてみました。
あまり背が高くなっても困る、・・・という下心もありました（＾＾；

その後は・・・、劇を見に行って・・・、
旦那様は爆睡・・・。
どうやら夢の中で、もうデートはお夕飯まで行っていたようです（笑）。
お話を聞くと、昨日は眠って２時間程度で、起きてしまわれていたとか。
思った以上に楽しみにしていたのかもしれないって、そんなこと・・・言われたら・・・愛しくて困っちゃいますよね。
しかも女性の容姿で言われているので、何だかいじらしい様子が割増しで・・・。

周囲が暗いのをいいことに、まだうとうととしているその顔を押さえて、キス・・・してしまいました・・・///
それからは劇が終わるまで・・・、殆どずっと・・・キスをしていたように思います、えへへ・・・（照）。

劇場を出たら外は小雨が降っていて、旦那様自身は雨のお散歩も嫌いではないようなのだけれど、
私が整えた髪が乱れるのと、真新しいドレスを気にしてくださったみたいで、
速やかに、予約を入れていたホテルに荷物を置き、そのまま展望台のあるビアレストランへ。
旦那様のふわふわとした髪は、大層お可愛らしいといつも思うのですが、
湿気を孕むとすぐにぺとっと重くなってしまうそうです。
私はどちらかというと水分の多い髪で、湿気に関わらず常に重いですからねぇ（苦笑）。

ビアレストランでは、ウェイトレスの女性の着ている制服に、目を奪われていたようです。
来月か再来月あたり、あの格好をしろという指令が、下されそうな気がしますね。
名物のビ－ルにワイン、腸詰めソーセージに煮込みハンバーグ・・・。
こちらのお食事はどうやら、旦那様のお好みに合いましたようです。
ゆっくりとお話をしながらのお夕食。お部屋に戻った頃にはもう、随分と遅い時間になっていました。

それからは・・・ええと、その・・・一緒にお風呂に・・・（、、//
女体は見慣れているだろうとかいわれましたが、じ、自分の体とはやはり・・・全く勝手が違うのですっ。
自分以外の女性の体なんて、その、・・・み・・・見たこと・・・ないし・・・///
え・・・、それから・・・、ですか？　
ふ、夫婦のデートなのですから、それから先のことを聞くのは、野暮というものです（首ふるふる）。
それに・・・何かあったとしても、旦那様は見た目は女性であれ、性格や言動は・・・普段通りの『アレ』ですよ？（ぇ）

そ、そんな訳で丸１日ゆっくりと、ただの恋人同士に戻って、羽根を伸ばしたのでした。
翌朝は近くに出ていた朝市で獲り立ての岩牡蠣を手に入れ、それをお土産に子供たちをお迎えに行ったのです。

・・・えへへ、そんなところです。
去年のお誕生日デートは、夜の動物園・・・でしたね（くす）。
来年はどこに行きましょうか？

ということで新婚旅行も無事に終わりました。
今晩あたりにはもう、ナハリに戻れるのでしょうか・・・。
結局、行きも帰りも冥界軍に遭遇するという旅行になったのですが、何か縁でもあるのでしょうか・・・と考えてみれば、うん。

そういえば旦那様は、元・シリアルキラーで。
私は半妖な上に、魑魅魍魎を召喚する術師でしたよね、あはは・・・。
何に祟られていても、おかしくはありませんねぇ。

お屋敷にもたまにいらっしゃるのですよ、恨めしそうなお顔をなさった、この世のものではない方が。
会話の余地はあまり無いので、旦那様の関係者なのか私の関係者なのか、はたまた元からこの土地にいらっしゃった方なのか、海を辿って流れ着いて来られた方なのかは、わかりませんけれど・・・。
子供たちに害があると困るので、出来る限りでお祓いはするのですけれど、私は退魔の術には長けていませんからねぇ。うーん。
召喚術師ではあっても送還は専門外なのですよ。なので今度改めて、ちゃんとした専門技能を持つ方にでも、お願いしようかと思います。

・・・などというと、目に見えるもの以外を信じないという旦那様は、『実にどうでもいいことだ』と呆れられるのですけれどね。
でも見える方が見られますと、結構すごいのではないかと思うのですよ、うちのお屋敷。

そんな訳で出国挨拶をしようとしたその当日に、トラテペスに冥界軍が現れましたので、機会を逃してしまって・・・。
とりあえず少しだけ出国時期を延ばして、中継地をお預かりしたり攻撃や突破にご協力させていただいたのですが、決着も見えてきましたので帰国することに決めました。
トラテペスの皆様、短い間でしたけれど遊んでくださいまして、本当に有難う御座いました。
魔法の氷の上の猫ちゃんを助け出すイベントでは、二位をいただいてしまって・・・えへへ、とてもいい思い出になりましたよ。

新婚旅行は一度だけの機会ですけれど、またいつか旦那様と二人旅で、いろんなお国を巡ってみたいですね・・・ふふ（＾＾*

さてと、ちょーっと悩んでいることが、１つ。今年のお誕生日のことについて、ここでお話するか否か。
旦那様とお出掛けしたのですが、多分旦那様はあまり・・・人に話して欲しくないだろうなぁ・・・。
という訳で、知りたいと希望されてなおかつ、聞いたことは秘密に出来るよーという方がおられたら、お話させていただこうかと思います。えへへ・・・ｗ