うつつ世とまどろみの境を泳ぐ、とある妖の手記・・・らしいもの
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
雨、雨、雨。
打ち寄せるのは、トオイキヲク。
眼前には白い水龍。
己の血と身を分けた存在でもある、水界の守護者。
『禁を・・・破りましたね・・・』
うつむき、唇を噛む白。
うるせぇ。
手前ェと親父と、そこの下等生物が作った『禁』なんざ、知るもんか。
その聖女ヅラには、正直いって反吐が出る。
何が共存か。
現実を直視するのが恐くて、逃げているだけの卑怯者が。
いいか、吾らには力がある。
人を喰らい畏れさせ、奴らの長となれる力が。
力のある者が。
弱者を支配して、何が悪い?
『私は・・・』
震える声。
『ひとと共存したかったのです。
これからの世の中で・・・それはきっと、必要となってくること』
振り絞るように奴が告げる。
ふん。
まさかこの吾が、コイツに説教されるようになるとはね・・・。
しかし。
「・・・はっ」
失笑を、禁じ得ない。
これから奴らは増え、この地に満ち、世の祝福を一心に背負う、・・・だろうから?
だから其らは誇りさえ捨てて、やつら低能なるものとの共存の道を選ぶのだと??
我らの妖界の直ぐ裏に位置するこの世界で。
「愚かよの、水神の仔。
其は『ひと』とかいう存在に、魂までも喰らわれてしまったようだな。
フン・・・艶っぽくなりやがって・・・、お前の男はもう居ないというのにな」
水龍の頬に一瞬、紅が疾る。
『何とでもお言いなさい。雷龍。私は人らとの共存の道を選んだのです』
白いその身が、1歩を踏み出してくる。
「それで。人を喰らう吾が邪魔だから、と?」
水龍は答えない。
かわりに毛羽立つ気配は、ヤツの周囲にいる取り巻きども。
『あなたの言葉を借りればね、雷龍』
静かにその指先を突き出し。封じの力持つ樹妖に合図を送る。
『それでもこうやって、私などに捕らえられている貴方は、弱者なのですよ』
瞳を細め。
封ずる。
◆
白い、頬を伝うのは。
透明な水。
「ライ・・・」
ひざまづくは、水の龍。
かつては妖界にて皇女と呼ばれ。
皇子と呼ばれた雷竜とは、血を分け身を分け、理想を語り合った者。
「貴方の意見も間違いではない・・・ない、けど・・・」
封じられ。
今は小さな石塊となった、分身に。
「人は貴方が思っているよりずっと、力を持ち始めているのですよ。
いずれ彼らはこの世界の樹を伐り、山を砕き空を汚します。
妖界でさえ・・・、彼らがやって来れば、抑えることが出来るかどうか・・・。
ふたつの世界は。交わらないままに、しかし手を取り合っているのがいい」
だから、ね。いつか。
貴方の時代が来るまで。
・・・そっと、手に取り。胸にかき抱く、
うつむき、唇を噛む白。
うるせぇ。
手前ェと親父と、そこの下等生物が作った『禁』なんざ、知るもんか。
その聖女ヅラには、正直いって反吐が出る。
何が共存か。
現実を直視するのが恐くて、逃げているだけの卑怯者が。
いいか、吾らには力がある。
人を喰らい畏れさせ、奴らの長となれる力が。
力のある者が。
弱者を支配して、何が悪い?
『私は・・・』
震える声。
『ひとと共存したかったのです。
これからの世の中で・・・それはきっと、必要となってくること』
振り絞るように奴が告げる。
ふん。
まさかこの吾が、コイツに説教されるようになるとはね・・・。
しかし。
「・・・はっ」
失笑を、禁じ得ない。
これから奴らは増え、この地に満ち、世の祝福を一心に背負う、・・・だろうから?
だから其らは誇りさえ捨てて、やつら低能なるものとの共存の道を選ぶのだと??
我らの妖界の直ぐ裏に位置するこの世界で。
「愚かよの、水神の仔。
其は『ひと』とかいう存在に、魂までも喰らわれてしまったようだな。
フン・・・艶っぽくなりやがって・・・、お前の男はもう居ないというのにな」
水龍の頬に一瞬、紅が疾る。
『何とでもお言いなさい。雷龍。私は人らとの共存の道を選んだのです』
白いその身が、1歩を踏み出してくる。
「それで。人を喰らう吾が邪魔だから、と?」
水龍は答えない。
かわりに毛羽立つ気配は、ヤツの周囲にいる取り巻きども。
『あなたの言葉を借りればね、雷龍』
静かにその指先を突き出し。封じの力持つ樹妖に合図を送る。
『それでもこうやって、私などに捕らえられている貴方は、弱者なのですよ』
瞳を細め。
封ずる。
◆
白い、頬を伝うのは。
透明な水。
「ライ・・・」
ひざまづくは、水の龍。
かつては妖界にて皇女と呼ばれ。
皇子と呼ばれた雷竜とは、血を分け身を分け、理想を語り合った者。
「貴方の意見も間違いではない・・・ない、けど・・・」
封じられ。
今は小さな石塊となった、分身に。
「人は貴方が思っているよりずっと、力を持ち始めているのですよ。
いずれ彼らはこの世界の樹を伐り、山を砕き空を汚します。
妖界でさえ・・・、彼らがやって来れば、抑えることが出来るかどうか・・・。
ふたつの世界は。交わらないままに、しかし手を取り合っているのがいい」
だから、ね。いつか。
貴方の時代が来るまで。
・・・そっと、手に取り。胸にかき抱く、
PR
この記事にコメントする
自己紹介
HN:
伽藺(カリン)・クイン
HP:
性別:
女性
職業:
アッシュ医師の妻/ナハリ軍務補佐官
趣味:
家事、お茶、お喋り
自己紹介:
医師アッシュ・クインの妻である柳の樹妖。
外見年齢は20歳ほど、実年齢は20代後半。
夫との間に男女の双子あり。
性格はおっとり。
行動は良く言えば優雅、悪く言えばどんくさい。
少し急ぐとすぐ転ぶ。
ネバーランド・ナハリ国の軍務省にも補佐官として所属している。
ユエルティートという名の少女を、小鳥と思い込んでペットとして飼っていたことがあり、
人の姿を現した今でも、娘代わりとして可愛がっている。
義兄にはウィルフェア氏とティーラ氏。氏の家族や同居人諸氏とも懇意で、何かとお世話になっている。
お茶が大好きでお茶菓子も好き。
甘党で大食漢。カロリーコントロールを言い渡されるレベル。
外見年齢は20歳ほど、実年齢は20代後半。
夫との間に男女の双子あり。
性格はおっとり。
行動は良く言えば優雅、悪く言えばどんくさい。
少し急ぐとすぐ転ぶ。
ネバーランド・ナハリ国の軍務省にも補佐官として所属している。
ユエルティートという名の少女を、小鳥と思い込んでペットとして飼っていたことがあり、
人の姿を現した今でも、娘代わりとして可愛がっている。
義兄にはウィルフェア氏とティーラ氏。氏の家族や同居人諸氏とも懇意で、何かとお世話になっている。
お茶が大好きでお茶菓子も好き。
甘党で大食漢。カロリーコントロールを言い渡されるレベル。
最新
(01/03)
(01/02)
(10/04)
(07/06)
(07/05)
分類
通ひ路
ブログ内検索