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うつつ世とまどろみの境を泳ぐ、とある妖の手記・・・らしいもの
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翌日、夜明けの少し前からカルタが狩りの誘いに来て、
アッシュを街の外周にある砂漠地帯に連れて行く。

砂トカゲというものは。
地上を動く分には鈍重だが一度砂に埋まってしまえば、人の目では捕らえられないほどに機敏に動く。
なので、トカゲの埋まっている畝を見つけてはカタパルト式の銛を撃ち込み、地上におびき寄せて狩るという手筈だった。

畝の盛り上がりが、なだらかなところはしっぽだから、撃つと余計に地中に潜ってしまう。
頭を狙って進路を断たれたと思い込ませ、飛び出して来たところを首元を狙って、長槍を持ったカルタが襲い掛かり、
手足の付け根の関節部分を狙ってアッシュが、カタパルトで援護するという手筈だった。

すぐに要領を掴む、アッシュの器用さと戦闘能力には、カルタも上機嫌になり。
1.5mほどの比較的小さなトカゲが標的の時には、長槍係を譲ろうかとまで言い出した程である。

最終的には『市場に卸してもまだおつりが来る』ほど捕れたらしい。
また小振りなトカゲはまだ『仔』らしく、ハーブ漬けにしなくとも臭みがないとかで、
その場で解体して岩塩だけを振って焼いて食べたりもした。
乗っていった小型砂上挺をいっぱいにして帰った後、カルタは市場に寄るからと館の近くにアッシュを降ろした。

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ムロマチ首都まで出て、なんとか魔法屋に繋ぎを取り。
エディンまで転送して貰ってからは、またしばらく平和な日々が続いた。
最初の方こそ、錯乱することが多かったカテリーンだが、住み慣れたエディンの暮らしに少しずつ癒され、
数年も経つ頃には安定して見える日の方が多くなった。

夜のエディンは、日中の陽射しがうそであるかのように涼しく、乾いた風が髪や頬を撫でていった。
そこに、よく似た姿の兄妹がゆったりと、夜着をひらめかせて歩いてゆく。
庭は緑豊かで、多くの花が咲いているように見受けられたが、その殆どが多肉植物の一種であるようだ。
乾いた地方は乾いた地方で、やはり植物も独自進化を、するのだろう。

「姉は外の世界の・・・特に倭人の方が嫌いなんです」

細い声が言葉を紡ぐ。
どこか思い詰めたような細くて高い声。
自分ではよくわからないけれど常々、女性化した伽藺の声を甲高いと評している夫に聞けば、
またよく似ているというのだろうか?

やがて充分に暖まり、さっぱりとして風呂から上がると、
屋敷中に旨そうな肉やスパイス、フルーツの匂いが充満していた。
歩くたびに風を孕んでは逃がす部屋着を靡かせ、使用人たちの案内の元に食堂に向かうと、
そこには南国情緒の溢れる豪華な宴席が設けられていた。
 
カルタやカルラも並んでおり、また他の姉妹かと思われる者たちも、きちんと並んで座っている。
上座には、カルタより少しだけ年長に見える、伏せ目がちの無口そうな少女。
10歳くらいだろうとおぼしき、大きな瞳が愛らしい少女。
補助具付きの椅子に埋まるように座っている、まだ5~6歳かと思われる素直そうな男の子。

アッシュ達も案内されて席につくと、メインディッシュらしきやたら大きな皿が、
数人がかりで運ばれて来る。

「ふふーん♪」

何故かカルタが得意げな顔をしている。

客人二人のグラスに、果実酒のようなものが注がれ、そしてメインディッシュの蓋が取られる。
カルタは胸を張ってふんぞり返り。
他の姉妹たちはこともなげにその中身を眺め。

そして、伽藺は。

 

 

 

 

 


綺麗な南国の花に彩られ、食欲をくすぐる香草の香りを纏った、『それ』。
・・・全長2~3mはあろうかという、巨大なトカゲの姿焼きを見て、顔色を蒼白にさせていた。

案内されるがままに、高級住宅地を通っていると、大きな噴水のある市民公園に出た。
噴水の中には水着を着た老若男女が戯れ、ちょっとしたプール扱いになっているようだった。
もともとはカテリーンが発見した小さな水場から発展し、しっかりとした地下水脈があったから、
街にまでなった場所らしい。

「そう・・・。この街を造るための、水場を発見したのが母上、なのですか・・・」

『夢見師』という存在が、どのようなものなのか、伽藺にはあまりわかっていなかった。
占い師のようなものだろうか、と予想はしていたのだが・・・。
どうやら思っていたよりも、具体的な効果でもって、人々を導くようだ。

「たしかにこのような、季候風土の厳しい土地ならば、人に見えないものを視る力や、
未来を予測する力は重宝されるのでしょうね」

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自己紹介
HN:
伽藺(カリン)・クイン
性別:
女性
職業:
アッシュ医師の妻/ナハリ軍務補佐官
趣味:
家事、お茶、お喋り
自己紹介:
医師アッシュ・クインの妻である柳の樹妖。
外見年齢は20歳ほど、実年齢は20代後半。
夫との間に男女の双子あり。

性格はおっとり。
行動は良く言えば優雅、悪く言えばどんくさい。
少し急ぐとすぐ転ぶ。
ネバーランド・ナハリ国の軍務省にも補佐官として所属している。

ユエルティートという名の少女を、小鳥と思い込んでペットとして飼っていたことがあり、
人の姿を現した今でも、娘代わりとして可愛がっている。
義兄にはウィルフェア氏とティーラ氏。氏の家族や同居人諸氏とも懇意で、何かとお世話になっている。

お茶が大好きでお茶菓子も好き。
甘党で大食漢。カロリーコントロールを言い渡されるレベル。
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