うつつ世とまどろみの境を泳ぐ、とある妖の手記・・・らしいもの
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
威紺の訪問から、丸1日が経った。
雨が降っているので、子供部屋兼寝室にしている元・プレイルームで、やはり伽藺は紅茶を飲んでいた。
窓がとんとんとノックされ、開けるとそこには昨日振りの従兄の顔。
「従兄上・・・」
雨傘を窓に立て掛けると、ずぶ濡れの靴を脱ぎ捨てて、窓枠をひょいと飛び越える。
あまりに鮮やかな入室に伽藺は目を丸くし、慌てて室内用のスリッパを持って来る。
「おう、すまんな」
「玄関から入って来れば宜しいのに・・・」
「いやぁ。逢引がばれたら、何かとまずいかね、と思ってな」
「何が逢引ですか」
くすりと笑って伽藺が客人用のティーカップを出す。
雨が降っているので、子供部屋兼寝室にしている元・プレイルームで、やはり伽藺は紅茶を飲んでいた。
窓がとんとんとノックされ、開けるとそこには昨日振りの従兄の顔。
「従兄上・・・」
雨傘を窓に立て掛けると、ずぶ濡れの靴を脱ぎ捨てて、窓枠をひょいと飛び越える。
あまりに鮮やかな入室に伽藺は目を丸くし、慌てて室内用のスリッパを持って来る。
「おう、すまんな」
「玄関から入って来れば宜しいのに・・・」
「いやぁ。逢引がばれたら、何かとまずいかね、と思ってな」
「何が逢引ですか」
くすりと笑って伽藺が客人用のティーカップを出す。
「・・・変わったな」
「え?」
セカンドフラッシュのダージリンティーを選び、丁寧に湯を注いでゆく従妹の顔を見て、
威紺がしみじみと呟く。
「いや、昨日とは顔が、違うなと思ってな。
まだいい笑顔とはいえないが、今にも死にそうな顔はしていないからな」
「・・・・・・。死にそう・・・、なんて・・・」
少し困ったような表情で、伽藺は充分蒸らしたポットから、薫り立つ紅茶を注いだ。
「ダージリンです。
こんな天気の日は、強いマスカテルフレーバーの、セカンドフラッシュが美味しく思えて」
「・・・ますか、てる??」
威紺はその倭風の見た目通り、紅茶の種類などには詳しくない。
かといって倭茶に詳しい訳でもない。実家での会合で恥をかかない程度に、茶の作法をかじっている程度だ。
そもそも茶よりは珈琲、それよりは酒を好む方だが、酒にしたって味にうるさいわけではない。
威紺にとっては強い酒がいい酒、酔える酒が最高の酒なのだ。
なので、ドライフルーツを練り込んだバターケーキなどを切り分けられても、いまいちどうしていいかわからなかった。
居心地悪そうに、部屋を見回す。
「・・・・・・。『あれ』か」
部屋の片隅で積み木遊びをしている、二人の赤子を見止める。
来客には慣れているのか威紺のことを気にするふうもなく、二人で延々と積み木を積んで遊んでいる。
「はい、今日はシッター様がお休みだから、私が見ているのです。
お姉ちゃんがリンネちゃん、弟の方がアルクちゃん」
「そうか・・・。へぇ、懐かしい顔だな。そうそう、お前は確か、こんなだったよ」
ひょいと緑髪の赤子を持ち上げ、まじまじと顔を覗き込む。驚いたのか赤子は一瞬泣きそうな顔をする。
「わ、わぁ泣くな! ってほれ、伽藺、パス、パス!!」
「え・・・ええぇ!?」
いきなり手渡されて伽藺は慌ててその子をあやす。
「ふぅむ、しかし確かにそいつは、お前の子なんだろうな。すぐに泣きそうな顔もそっくりだ」
「もう。従兄上と私は三ヶ月しか違わないのですから、貴方が赤子の頃の私を覚えている訳がないでしょう?
せいぜい希鈴にそっくりだという程度でしょうがぁ」
「・・・あぁ、そうか、そういえば希鈴も小さい頃は泣き虫だったな。そういう意味ではお前以上だったっけ」
母の胸に抱かれて、安心した風情を見せる赤子から目を離し、威紺はもう一人の赤子に近寄っていく。
「ほう、こっちはいい面構えをしてるじゃねえか。あと10年も経ったら、うちに来ないかと言いたいところだな。
いい戦士になりそうだ」
「・・・・・・やめて下さい。女の子なんですから」
えっ、と顔を上げて威紺は。先ほど渡した緑髪の赤子と、この灰髪の赤子を見比べる。
「その子がリンネちゃん、こっちがアルクちゃんです。・・・ちゃんとリボンを付けているでしょう?」
従妹のジト目を受けながら、威紺は驚いたようにリンネを見遣る。
その視線に不愉快なものを感じたのか、頭を撫でようと出されたまま固まった手に、小さな口が食い付いた。
「・・・・・・Σ!!?」
生えたての乳歯とはいえ、薄くてよく刺さり・・・痛い。
しかもこの赤子の顎が、結構力が強いようだ。
「はいはいリンネちゃん怒らないの。失礼なおじちゃんですねぇ、はい、ご機嫌を治して?」
アルクを積み木の前に戻した伽藺が、改めてリンネを威紺から引き離す。
手に歯型を付けて悶絶する威紺に、冷たい視線を浴びせつつ一言。
「こう見えてもリンネちゃんにはもう、立派なレディの自覚があるんですからね?
失礼なことをいうと嫌われてしまいますよ??」
立派なレディが、初対面の男の手に噛み付くのかよ、と、震える声を押し出しつつ。
威紺は姿勢を正して赤子たちを見遣った。
二人は一枚ずつビスケットを渡されて、もう機嫌は治っているようだった。
「・・・なるほど。お前の夫とやらが、どういう面構えをしてるのか、大体わかった。
まぁティーからおおまかには聞いていたがな」
「あはは・・・;」
改めてティーテーブルに就き、威紺は従妹に本題を切り出した。
「で。昨日の話なんだが・・・」
「・・・あ・・・」
伽藺の表情に陰が落ちる。
昨日ほど状況は悪くはないようだが、完全に解決した訳でもないらしい。
「・・・・・・私がいなくなれば、探しに来てくださるのでしょうか。
世界の・・・、果てまで・・・。暮蒔の隠れ里までも・・・」
「・・・・・・」
ティーカップを握る手に力が入る。
「昨日はあの方から、話掛けて来て下さいました。
そして・・・扉越しではありましたが、長いお話を・・・しました・・・」
「・・・そうか」
威紺は所在なさげに視線を外す。
色恋やら夫婦関係の話は、威紺はあまり得意ではない。
「正直いえば、やっぱりあの方の言うことは、半分くらい・・・私はわかりません。
信頼・・・出来ていないのかもしれない。
・・・疑う理由も余地も、ないというのに・・・でも・・・、やっぱり・・・」
ほろほろと、やはり昨日と同じ涙が、流れる。
「あの方が、私を愛する理由が、わからない」
・・・・・・。
お前には、愛されるだけの価値があるよと、威紺は言いたかった。
しかし威紺の伽藺への愛は、所詮兄が妹へ抱く愛だ。
全く何の関係もない男女だったとして、異性として彼女を愛することが出来ただろうか?
どこか強がりな年上女が好きという、威紺の性癖を考えると、その可能性は限りなく低い。
だから、彼女の夫の気持ちを汲んで、代弁することは出来なかった。
かわりに、やはり昨日と同じように、滑らかな髪を一つ撫でた。
ティーテーブルを挟んでいなければ、抱擁していたかも知れない。
「お話については、今回はまだ・・・」
「そうか・・・」
手づかみでケーキを口に運び、威紺は大きくため息をついた。
残念そうな顔はしてみたが、半分くらいはほっとしていた。
威紺本人ですら、実は暮蒔という故郷の地は、あまり好きではない。
あそこに行くということは、すなわちそれは、妖と戦う戦士として生きるということだ。
また、それは彼ら半妖の血を持つ者にとって、同族を殺すということでもある。
繊細な従妹には、そんな生き方は、させたくない。
「じゃあ、このままここで、暮らすんだな」
「・・・・・・」
それも、迷っているようだった。
夫との絆が揺らいでいる、今の状況の伽藺に、まだ『あの』話は出来ない。
威紺本人としても辛い話だが、まだ『これ』は持っている必要が、ありそうだ。
衣服の上から、懐に入れた小さな紙包みをさすりつつ、威紺は一つの重要な事柄を、
まだ伽藺には黙っていることを決意した。
「それじゃあ、また来る」
紅茶をぐいと飲み干すと入って来た窓に近付き、来た時と同じように柵を飛び越えた。
「あぁ・・・そうだ、痣、大丈夫か?」
治癒力の高い伽藺の腕の痣は、今日にはもう消えていた。
「ええ。けれど・・・あの方には昨日、見咎められてしまいました」
困り顔で報告する伽藺。威紺は「へぇ」と一言だけ返した。
「『貴方には関係ない』と・・・言って差し上げました。
滅多に私、そういう言い方はしないから、少し驚いていたようだけれど。
あの方もたまには私と同じくらい、不安な気持ちになればいいのだわ」
いつも気弱なこの従妹に、そうはっきり反旗を翻されれば。
そりゃあ、威紺であったとしても、一瞬呆気に取られるだろう。
よくよく考えれば、彼女の内心の頑固さは重々わかっているのだから、驚くことでもないのだが。
「ま・・・大事にならなかったのならいいさ。それじゃあ、な。
近いうちにまた・・・」
靴を履き、雨傘を差して離れる、従兄の後姿を見送りって。
灰色の雨の中にその姿が、見えなくなった頃に・・・。
伽藺はぺたりと膝をつき、毛足の長いカーペットに涙を落とした。
「不安になればいい・・・なんて。
あの方が不安性なことくらい、私だって・・・知っています、わかっています・・・。
けれど、隠すから・・・。
平気なふりをするから、いつも堂々とされているから、私は・・・私だけが淋しいのかもって」
顔を覆い、肩を震わせる。
「そして・・・。
いつしか、貴方の淋しいという言葉、貴方の・・・愛しているという言葉が、信じられなくなっていく・・・」
「・・・かーしゃ?」
「か・・・しゃまー・・・」
母が泣いていることに気付いて、子供たちが近寄ってきた。
懸命に手を伸ばして、撫でようとしていることにも気付かず、伽藺はただただ薄着の背中を丸めていた。
「え?」
セカンドフラッシュのダージリンティーを選び、丁寧に湯を注いでゆく従妹の顔を見て、
威紺がしみじみと呟く。
「いや、昨日とは顔が、違うなと思ってな。
まだいい笑顔とはいえないが、今にも死にそうな顔はしていないからな」
「・・・・・・。死にそう・・・、なんて・・・」
少し困ったような表情で、伽藺は充分蒸らしたポットから、薫り立つ紅茶を注いだ。
「ダージリンです。
こんな天気の日は、強いマスカテルフレーバーの、セカンドフラッシュが美味しく思えて」
「・・・ますか、てる??」
威紺はその倭風の見た目通り、紅茶の種類などには詳しくない。
かといって倭茶に詳しい訳でもない。実家での会合で恥をかかない程度に、茶の作法をかじっている程度だ。
そもそも茶よりは珈琲、それよりは酒を好む方だが、酒にしたって味にうるさいわけではない。
威紺にとっては強い酒がいい酒、酔える酒が最高の酒なのだ。
なので、ドライフルーツを練り込んだバターケーキなどを切り分けられても、いまいちどうしていいかわからなかった。
居心地悪そうに、部屋を見回す。
「・・・・・・。『あれ』か」
部屋の片隅で積み木遊びをしている、二人の赤子を見止める。
来客には慣れているのか威紺のことを気にするふうもなく、二人で延々と積み木を積んで遊んでいる。
「はい、今日はシッター様がお休みだから、私が見ているのです。
お姉ちゃんがリンネちゃん、弟の方がアルクちゃん」
「そうか・・・。へぇ、懐かしい顔だな。そうそう、お前は確か、こんなだったよ」
ひょいと緑髪の赤子を持ち上げ、まじまじと顔を覗き込む。驚いたのか赤子は一瞬泣きそうな顔をする。
「わ、わぁ泣くな! ってほれ、伽藺、パス、パス!!」
「え・・・ええぇ!?」
いきなり手渡されて伽藺は慌ててその子をあやす。
「ふぅむ、しかし確かにそいつは、お前の子なんだろうな。すぐに泣きそうな顔もそっくりだ」
「もう。従兄上と私は三ヶ月しか違わないのですから、貴方が赤子の頃の私を覚えている訳がないでしょう?
せいぜい希鈴にそっくりだという程度でしょうがぁ」
「・・・あぁ、そうか、そういえば希鈴も小さい頃は泣き虫だったな。そういう意味ではお前以上だったっけ」
母の胸に抱かれて、安心した風情を見せる赤子から目を離し、威紺はもう一人の赤子に近寄っていく。
「ほう、こっちはいい面構えをしてるじゃねえか。あと10年も経ったら、うちに来ないかと言いたいところだな。
いい戦士になりそうだ」
「・・・・・・やめて下さい。女の子なんですから」
えっ、と顔を上げて威紺は。先ほど渡した緑髪の赤子と、この灰髪の赤子を見比べる。
「その子がリンネちゃん、こっちがアルクちゃんです。・・・ちゃんとリボンを付けているでしょう?」
従妹のジト目を受けながら、威紺は驚いたようにリンネを見遣る。
その視線に不愉快なものを感じたのか、頭を撫でようと出されたまま固まった手に、小さな口が食い付いた。
「・・・・・・Σ!!?」
生えたての乳歯とはいえ、薄くてよく刺さり・・・痛い。
しかもこの赤子の顎が、結構力が強いようだ。
「はいはいリンネちゃん怒らないの。失礼なおじちゃんですねぇ、はい、ご機嫌を治して?」
アルクを積み木の前に戻した伽藺が、改めてリンネを威紺から引き離す。
手に歯型を付けて悶絶する威紺に、冷たい視線を浴びせつつ一言。
「こう見えてもリンネちゃんにはもう、立派なレディの自覚があるんですからね?
失礼なことをいうと嫌われてしまいますよ??」
立派なレディが、初対面の男の手に噛み付くのかよ、と、震える声を押し出しつつ。
威紺は姿勢を正して赤子たちを見遣った。
二人は一枚ずつビスケットを渡されて、もう機嫌は治っているようだった。
「・・・なるほど。お前の夫とやらが、どういう面構えをしてるのか、大体わかった。
まぁティーからおおまかには聞いていたがな」
「あはは・・・;」
改めてティーテーブルに就き、威紺は従妹に本題を切り出した。
「で。昨日の話なんだが・・・」
「・・・あ・・・」
伽藺の表情に陰が落ちる。
昨日ほど状況は悪くはないようだが、完全に解決した訳でもないらしい。
「・・・・・・私がいなくなれば、探しに来てくださるのでしょうか。
世界の・・・、果てまで・・・。暮蒔の隠れ里までも・・・」
「・・・・・・」
ティーカップを握る手に力が入る。
「昨日はあの方から、話掛けて来て下さいました。
そして・・・扉越しではありましたが、長いお話を・・・しました・・・」
「・・・そうか」
威紺は所在なさげに視線を外す。
色恋やら夫婦関係の話は、威紺はあまり得意ではない。
「正直いえば、やっぱりあの方の言うことは、半分くらい・・・私はわかりません。
信頼・・・出来ていないのかもしれない。
・・・疑う理由も余地も、ないというのに・・・でも・・・、やっぱり・・・」
ほろほろと、やはり昨日と同じ涙が、流れる。
「あの方が、私を愛する理由が、わからない」
・・・・・・。
お前には、愛されるだけの価値があるよと、威紺は言いたかった。
しかし威紺の伽藺への愛は、所詮兄が妹へ抱く愛だ。
全く何の関係もない男女だったとして、異性として彼女を愛することが出来ただろうか?
どこか強がりな年上女が好きという、威紺の性癖を考えると、その可能性は限りなく低い。
だから、彼女の夫の気持ちを汲んで、代弁することは出来なかった。
かわりに、やはり昨日と同じように、滑らかな髪を一つ撫でた。
ティーテーブルを挟んでいなければ、抱擁していたかも知れない。
「お話については、今回はまだ・・・」
「そうか・・・」
手づかみでケーキを口に運び、威紺は大きくため息をついた。
残念そうな顔はしてみたが、半分くらいはほっとしていた。
威紺本人ですら、実は暮蒔という故郷の地は、あまり好きではない。
あそこに行くということは、すなわちそれは、妖と戦う戦士として生きるということだ。
また、それは彼ら半妖の血を持つ者にとって、同族を殺すということでもある。
繊細な従妹には、そんな生き方は、させたくない。
「じゃあ、このままここで、暮らすんだな」
「・・・・・・」
それも、迷っているようだった。
夫との絆が揺らいでいる、今の状況の伽藺に、まだ『あの』話は出来ない。
威紺本人としても辛い話だが、まだ『これ』は持っている必要が、ありそうだ。
衣服の上から、懐に入れた小さな紙包みをさすりつつ、威紺は一つの重要な事柄を、
まだ伽藺には黙っていることを決意した。
「それじゃあ、また来る」
紅茶をぐいと飲み干すと入って来た窓に近付き、来た時と同じように柵を飛び越えた。
「あぁ・・・そうだ、痣、大丈夫か?」
治癒力の高い伽藺の腕の痣は、今日にはもう消えていた。
「ええ。けれど・・・あの方には昨日、見咎められてしまいました」
困り顔で報告する伽藺。威紺は「へぇ」と一言だけ返した。
「『貴方には関係ない』と・・・言って差し上げました。
滅多に私、そういう言い方はしないから、少し驚いていたようだけれど。
あの方もたまには私と同じくらい、不安な気持ちになればいいのだわ」
いつも気弱なこの従妹に、そうはっきり反旗を翻されれば。
そりゃあ、威紺であったとしても、一瞬呆気に取られるだろう。
よくよく考えれば、彼女の内心の頑固さは重々わかっているのだから、驚くことでもないのだが。
「ま・・・大事にならなかったのならいいさ。それじゃあ、な。
近いうちにまた・・・」
靴を履き、雨傘を差して離れる、従兄の後姿を見送りって。
灰色の雨の中にその姿が、見えなくなった頃に・・・。
伽藺はぺたりと膝をつき、毛足の長いカーペットに涙を落とした。
「不安になればいい・・・なんて。
あの方が不安性なことくらい、私だって・・・知っています、わかっています・・・。
けれど、隠すから・・・。
平気なふりをするから、いつも堂々とされているから、私は・・・私だけが淋しいのかもって」
顔を覆い、肩を震わせる。
「そして・・・。
いつしか、貴方の淋しいという言葉、貴方の・・・愛しているという言葉が、信じられなくなっていく・・・」
「・・・かーしゃ?」
「か・・・しゃまー・・・」
母が泣いていることに気付いて、子供たちが近寄ってきた。
懸命に手を伸ばして、撫でようとしていることにも気付かず、伽藺はただただ薄着の背中を丸めていた。
PR
この記事にコメントする
自己紹介
HN:
伽藺(カリン)・クイン
HP:
性別:
女性
職業:
アッシュ医師の妻/ナハリ軍務補佐官
趣味:
家事、お茶、お喋り
自己紹介:
医師アッシュ・クインの妻である柳の樹妖。
外見年齢は20歳ほど、実年齢は20代後半。
夫との間に男女の双子あり。
性格はおっとり。
行動は良く言えば優雅、悪く言えばどんくさい。
少し急ぐとすぐ転ぶ。
ネバーランド・ナハリ国の軍務省にも補佐官として所属している。
ユエルティートという名の少女を、小鳥と思い込んでペットとして飼っていたことがあり、
人の姿を現した今でも、娘代わりとして可愛がっている。
義兄にはウィルフェア氏とティーラ氏。氏の家族や同居人諸氏とも懇意で、何かとお世話になっている。
お茶が大好きでお茶菓子も好き。
甘党で大食漢。カロリーコントロールを言い渡されるレベル。
外見年齢は20歳ほど、実年齢は20代後半。
夫との間に男女の双子あり。
性格はおっとり。
行動は良く言えば優雅、悪く言えばどんくさい。
少し急ぐとすぐ転ぶ。
ネバーランド・ナハリ国の軍務省にも補佐官として所属している。
ユエルティートという名の少女を、小鳥と思い込んでペットとして飼っていたことがあり、
人の姿を現した今でも、娘代わりとして可愛がっている。
義兄にはウィルフェア氏とティーラ氏。氏の家族や同居人諸氏とも懇意で、何かとお世話になっている。
お茶が大好きでお茶菓子も好き。
甘党で大食漢。カロリーコントロールを言い渡されるレベル。
最新
(01/03)
(01/02)
(10/04)
(07/06)
(07/05)
分類
通ひ路
ブログ内検索