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『椅子』こと、ガロニア氏を軍務室に連れて行き、新人軍務官嬢へ引き渡し。
「今日も一日終わりましたよー(いや今から家事があるのですけれども)」と、
自宅帰って部屋に入ると・・・。
クローゼットの中から、何やらコツコツと、つつくような物音。
空けてみると、そこにはすっかりふわふわの毛並みになった、小さな白。
何とか立っているところを見ると、怖れていた骨折などは無い様子。
まだ、疲弊は残っている感じだったけれど、放り込んでいた幾つかに、
嘴の跡が付いていた。
粟や稗、米粒やパンなどはほぼ、つついた形跡が無く。
果物・・・蜜柑や苺、あと葉物の野菜には、興味を示していたようだった。
そして特に目を引いたのは、林檎の切れ端がほぼ綺麗に、
無くなっていたこと。
「・・・そう。あなたは果物を食べる、鳥さんだったのですね」
特に林檎が好物らしい。
そうとわかれば、林檎を少し大きめに切って、針金で止まり木の近くに、
固定し。
水も新鮮なものに取り替えて籠の中に入れた。
すっかり、冷めてしまっていた湯たんぽも、中のお湯を取り替えて。
「おいでなさい?」
籠に指を入れて、ちょんと飛び移らせると、ふふっと笑って挨拶をする。
深緑の髪から覗く柳葉が、機嫌よさげに動いた。
「僕は『柳 伽藺(リュウ・カリン)』と言います。
東方の出身ですから、伽藺の方が名前になります。
あなたが元気になるまで、お世話をさせていただこうと思っていますので、
どうぞ宜しくお願いしますね?」
手で包んで背中の羽毛を撫でる。
バニー姿の娘が、小鳥に話し掛けている、という。
傍から見ればとても、異様な光景なのだろうけど。
「ええとね、それで悪いのですけれど、しばらくはこのクローゼットの中に、
住んでいただきたいのですよ。
なるべく声を出さず、音を立てないで・・・。
外に出るとこわーい方に、見つかっちゃいますからね?」
鳥の嘴を指先で撫でる。
「。。。でも、本当は表し方を知らないだけで、とても優しい方ですから。
いつかきちんと紹介しようと思っていますよ」
そして改めて部屋を見せる。
屋敷の中の、自身の割り当てられた、プライベートルーム。
広いが簡素な室内には、油絵具の匂いが充満し、何枚かのキャンバスが、
無造作に立て掛けてある。
「ごめんなさいね、油臭いでしょう?
家主殿にもいつも言われているのですよ。
なるべく換気はしますから、どうぞこのお部屋から、出ないで下さいな。
いずれ・・・暖かくなって来たら、お庭くらいは案内致しますからね」
さぁ、身体が冷えないうちに、お戻り下さいまし、と。
小鳥をおがくずを敷き詰めた籠に入れると。
「あぁ、昨日の賑やかな人は、ガロニア殿といって、お友達なのです」
一服盛ったり葉っぱを毟られたりと、かなり微妙な空気の流れる、
『お友達』ではあるが。
「あの方も、小さな生き物がお好きなようですから、また会いに来られると、
言っておられましたよ。
お家にいる小鳥さんに妬かれない程度に、・・・ということらしいですが」
くすくすと笑いながら、小さな頭の中の大きな瞳を、覗き込む。
「お名前がないと不便ですよねぇ?
・・・『ピヨ松』殿・・・とかで如何でしょう。
『チュン之丞』とかも、考えてみたのですが・・・v」
ネーミングセンスは。皆無に等しかった。
外見年齢は20歳ほど、実年齢は20代後半。
夫との間に男女の双子あり。
性格はおっとり。
行動は良く言えば優雅、悪く言えばどんくさい。
少し急ぐとすぐ転ぶ。
ネバーランド・ナハリ国の軍務省にも補佐官として所属している。
ユエルティートという名の少女を、小鳥と思い込んでペットとして飼っていたことがあり、
人の姿を現した今でも、娘代わりとして可愛がっている。
義兄にはウィルフェア氏とティーラ氏。氏の家族や同居人諸氏とも懇意で、何かとお世話になっている。
お茶が大好きでお茶菓子も好き。
甘党で大食漢。カロリーコントロールを言い渡されるレベル。