きっと旦那様は不思議に思っただろう。

理解をする必要はないと言うが、理解が出来たらきっと、納得も出来るのだろう。
疑う余地などないのはわかる。けれど、この心に広がる虚無感は、何かな。
そもそも何を疑っているのかさえ自分でわからない。

浮気・・・浮いた様子など欠片も見えない。ありえない。
愛情が口先だけの可能性・・・行動を見ている限りあるわけがない。
ちょっとの時間や手間も、私に掛けて下さっている。

そう、愛されているのは、確実で。だから、不安に思う理由など、何一つない。
だから、私が欲張っているだけだと、思う。

わかっているのにどうして・・・。
私を好きなことに理由はない、全てを愛していると言われるだけで、
こんなにせつない気持ちになるのだろう。

『貴様がただ息を吸うのも可愛いし、息を吐くのだって可愛い』と言われて。
『それでは、息をしている生き物は全て可愛いのかしら、なんて思ってしまいますよ？』
なんて・・・少し意地悪だったかしら。
いいえ、意地悪を言ったとも、思っていないのでしょうね。あの方は・・・。

いつもの軽口の一つだと思っている・・・きっと。

私はいつもそう・・・、理由を求めてしまう・・・。
それはおかしいことだと、いつも言われるけれど、でも・・・理由がないと納得出来ない。
涙の理由がわからない・・・。
優しくされて、愛されて、幸せで、不満はなくて、満足で。
だから・・・胸に抱かれたままなのに、何故涙が零れるのかわからない。












こんな私は、やっぱり本当に心から何かを愛することは、出来ないのかも知れない。
理由のない愛、本能的な愛着、それは一体・・・どういうものなのだろう。








知りたい。